I LOVE YOUが聴きたくて
オープン、第2号のお客様。
家族連れのお客様。
三人の子ども達は、店の中で無邪気に楽しそうにはしゃぎ、子ども達の両親は、はしゃぎすぎる子ども達を注意したりしながら、夫婦仲良く、雑貨を選んでいる。
魅麗は、家族に、マッシュルームのスープを振る舞った。
「オープンの記念に作ったんです。良ろしかったら、お召しあがり下さい。お口に合いますか、わかりませんが」
魅麗は、今度はステンドグラスの真新しい器にスープを注ぎ、お客様に、そう声をかけながら、アンティークのお盆にスープを乗せて、きのこ模様のテーブルへと運んだ。
座ってはしゃいでいた子ども達が、魅麗が運んできたスープを、興味深々に覗き込む。

「まぁ、いいんですか?」
夫婦は、子ども達を制止しながら、口を揃えて言い、魅麗に気を使っている。
魅麗は、お客様が来て下さったことが、とってもとっても嬉しかった。その思いを胸に、是非、お客様に喜んでほしくて、思いを伝えた。
「お客様が来て下さるかわからなかったので、正直、心配でした。わからないながらも、オープンの記念に、気合いを入れて作っちゃいました」
そう言って、腰を低めながら、魅麗は、笑顔でお客様に言った。

「食べていいの?」
子ども達が、目を見開いて口々に聞いている。
「どうぞ」
魅麗は、目を細めながら子ども達に言った。魅麗の返事に、嬉しそうにしながら、子ども達は、自分のママに尋ねる。
「いいの?」
「いいよ。お姉ちゃんに御礼を言って」
「有難うございます」
「いいえ、こちらこそ」
魅麗は、お辞儀をしながら、優しく微笑んだ。そして、謙虚に、夫婦に勧める。
「どうぞ、食べて下さい。ゆっくりして下さいね」
「はい。では、せっかくだから、頂こう。頂きます」
御主人がそう言うと、奥さんも、
「お言葉に甘えて、頂きます」
と、笑顔で魅麗に言った。

きのこ模様のテーブルを囲んで、家族五人は、楽しそうに会食をしている。
美味しそうに、楽しそうにしているお客様を見ながら、魅麗は、とても嬉しかった。
『作って良かったなぁ』
魅麗は、幸せな気持ちに浸る。

仲良の良い家族の声が、店中に広がっていた。

~ カラン カラン ~

再び、入口のドアが開いた。

「Hello~」

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