I LOVE YOUが聴きたくて
魅麗は、怜(ユウ)を車に乗せると、お店へと来た道を、車を走らせた。
怜(ユウ)は、車の中で、ずっとひっきりなしに、幼稚園での出来事を魅麗に話す。
お友達のこと、先生のこと、遊具や砂場で遊んでいる時のこと、体操の時間のこと、躍りの時間のこと、ことわざの勉強や英語の歌、お絵描きやシール貼り、等々、幼稚園でのいろんな出来事を、大笑いしながら、時には難しい顔をしながら、怜(ユウ)は、表情豊かに話をする。
表情がコロコロ変わって、見ていて面白い。

子どもって、そのまんまだな、と、いつも思いながら、魅麗は、いろんな発見をさせられるのであった。


「ユウ、お弁当、全部食べた?」
「うん!食べたよ」
「よし、おりこうさん!」
「うん」
怜(ユウ)は、流れる景色を見たりしながら、ハッキリと頷く。
「ママ、食べた?」
「あ、」
朝食べたきり、お昼はまだ食べていなかった事を思い出す。
「そっか」
有り難いことに、お客様が、途切れなくお店にいらしたので、まだお昼を食べていなかったことを思い出した。

「ママ、今日は食べる暇がなかったよ。帰って食べる」

車は、お店に近づいた。
「いっぱい来た?お客さん?」
「うん、お客さん、来てくれたよ~。また来るかなぁ」
「来るかなぁ~」
怜(ユウ)は、窓の外を見る。
「怜(ユウ)。帰ったら、ママ、まだお仕事あるから、いつもの様にいい子にしてね」
「うん。お店は入っていいの?」
「うん、いいよ」
「わぁい!」


きのこ模様の建物が見え、車は到着。
魅麗は、車を車庫に入れて、車から降りると、まだうまくドアを開けられない怜(ユウ)を手伝って、後部座席のドアを開けた。
怜(ユウ)は、元気よく車から降りた。

我が家まで続く階段を、魅麗は、怜(ユウ)と手を繋いで、一歩一歩上がっていく。

「あ、ママ見てー」

怜(ユウ)は、階段を上がりながら、階段のわきに咲いている花を見つけて、魅麗に言う。
「わぁ、可愛いねぇ」
「うん!あっちも」
「ん?」
「あっち」
「どれ?」
「あれだよ」
怜(ユウ)は、一生懸命に指をさして言う。
「あぁ!小さい花だから、ママからは、葉っぱに隠れて見えなかったよ。ホントねぇ」
魅麗は、目線の違いでの、見え方の違いを知る。
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