Ｉ ＬＯＶＥ ＹＯＵが聴きたくて

そこには、自分たちの街が、とても見晴らしよく、広大に広がっていた。
「よく見えるねぇ～」
「うん。見晴らしいいねぇ」
「綾ー！ここ最高！眺めがいいよー」
「そうでしょう？びっくりしたでしょう？」
「うん！この場所気に入ったな、私。いつも見てる街じゃないみたいね、ここ」

綾は、やっぱりね、と微笑んだ。

綾も、皆とともに、広大に広がる眺めを見下ろしていた。



「お店に入る？」
泉が、皆に声をかけた。
皆は頷き、返事をすると、お店の入口へと歩いていった。

泉が、ふと、入口の前で、足を止める。
「ん？どうしたの？」
綾は、歩みを止めた泉に不思議に思い、尋ねる。

「綾、先に入って～」
「ん？どうしたの？泉からでもいいじゃん」
「なんだか、ドキドキするんだもん。綾、入ってよ」
「？、変なの～」
綾は、そう言いながら、お店のドアを開けた。泉は、綾の後ろでお店を覗こうとしながら、ワクワクしている。

～ カラン カラン ～

「わぁっ、ベルがついてる～」
泉は、ひとつひとつに好反応をした。


「いらっしゃいませ～」

ベルの音に気付いて、魅麗が、店の奥からやってきた。
ちょうど、お客様にもてなしをしていたので、アンティークなお盆を手に、入口へと向かう。
綾だと気付いて、表情がパッと明るくなった。表情が、より一層輝く。
綾は、それを見逃さなかった。そして、綾は、魅麗が、自分を見て明るい表情になったことに嬉しさを感じる。

「綾ちゃん！来てくれたのー？嬉しい！」
魅麗は、歓喜の声をあげる。
「勿論だよ。魅麗さんのお店のオープンだよー。今まで来てるのに、今日、来なかったら変じゃん。魅麗さん、オープン、おめでとう！」
「ありがとう！」
「今日は、友達と一緒に来たの」
綾は、そう言って、泉たちに手招きをする。

「こんにちわ～」
「まぁ～こんにちわ。ようこそ、いらっしゃいませ」
好奇心大盛で、雑貨など可愛いもの好きな泉は、魅麗に対しても興味深々な様子で、満面な笑顔だった。

そんな様子に、綾は思っていた。

【いつどこで誰と誰が出会うかは、本当にわからないなぁ。今、こうして、魅麗さんと泉は出会った。大ファンの美咲 怜樹の恋の相手よ、って言ったら、泉、驚くだろうなぁ】