I LOVE YOUが聴きたくて
逆もそう。日本にも、美咲 怜樹のファンがいる事は知っているだろうが、泉がファンだと知ったら、身近に、しかも、高校生にもいるのかと、びっくりするかもしれない。もしかしたら、会えないけど、近くに感じるかもしれないし、逆に、虚しくなるかもしれない。などと、魅麗の心情を、勝手に想像している綾だった。

言いたい気持ちは、やまやまだが、言って、魅麗と泉が、仲良くなるだけならいいが、美咲 怜樹は、今や有名な画家。世間は、彼に子どもがいることを知らない。子どもがいる事は、彼も知らず。画家として著名な彼は、画家を目指したり、絵を描く人にとって、師匠な存在で、若い彼は、女性にもとても人気で、真剣なお嫁さん候補がいるほど。勿論、彼に、心から愛した女性がいたなんて知らず。彼には、昔、心から愛した人がいて、しかも、その愛の間に、授かった子どもがいるなんて知れば、世間はかなり驚くだろう。黙っていないだろう。マスコミは、騒ぎ立てて、ここにもやってくるかもしれない。魅麗の、今の穏やかな生活をかき乱されたくはないと、綾は、強く思った。

【でも、本当は、ハッピーエンドになってほしいなぁ】


綾は、ひとり、考えていた。


そんな綾に、ふと、気付き、魅麗は声をかける。

「綾ちゃん?」
「うん?」
「どうかした?何か考えごと?」
魅麗は、不思議そうに伺う。
「ううん」
綾は、首を振り、明るく微笑んだ。
「そっか」
「うん」
綾の微笑みを見て、安心した様で、魅麗は、綾と友人たちに声をかける。
「ゆっくりしてってね」
「はい」
泉が、満面の笑顔で、歯切れの良い返事をした。
それを見て、綾は、吹き出して笑う。
「なによぉ」
泉は、膨れ面をした。
「だって、泉、さっきからずっとにこにこなんだもん」
「いいことじゃん。シカメ面よりいいでしょう?」
「そうだけど」
綾は、おかしくて、おかしくて。
「素敵な方との出会いだよ。こんな可愛い自分のお店なんて、憧れちゃう」
泉は、綾におかまいなしに、目を輝かせた。

「まぁーありがとう。さぁどうぞ中へ。色々あるから、見てね」
「はい。わぁー」

泉たちは、とても綺麗に可愛くディスプレイされた雑貨たちに、声をあげていた。

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