Ｉ ＬＯＶＥ ＹＯＵが聴きたくて
魅麗は、ふと目を覚ました。
「何時だろう」

差し込む夕日に、夕方の時刻であることを予想する。
時刻は、もうすぐ午後四時半を指し示そうとしていた。

怜(ユウ)が、寝返りをうち、目を覚ました。

「起きた？おトイレ行っておいで」
「うん」
怜(ユウ)は、返事をすると、眠気眼をしばしばさせながら、眠気面で小さなスリッパを掃くと、お店の方のトイレに行こうと、奥から店へと出た。
「あっ」
怜(ユウ)は、きのこの椅子に座って、テーブルでうたた寝をしている綾を見つけた。

「ママ～、お姉ちゃんがいるよ～」
「ん～？」
怜(ユウ)の声に、慌てて、魅麗は店へと出てきた。
「あら～、来てたのね。眠ってたから、待っててくれてたのねぇ」
「お姉ちゃん、眠ってる」
「そうね。カゼをひいては大変」
魅麗は、綾に、そっとカーディガンをかけた。
「しー」
怜(ユウ)が、自分の口の前に、人指し指を置いて言う。
「そうね」
魅麗は、小声で言うと、微笑んだ。



今日はもう、お客様が来ない様子なので、魅麗は、お店を閉めて、夕食を作り始めた。

怜(ユウ)は、眠っている綾の側にいくと、きのこのテーブルで、絵を描き始めた。

つけていたテレビから、美咲 怜樹の話題が流れてきた。怜(ユウ)は、彼を知らないので、他の番組と同じ様に、普通な反応で、ただ見ていた。途中に、絵が映ったときだけ、絵が好きな怜(ユウ)は、興味深げに見入っていた。


綾は、目を覚ました。そして、徐に、顔を上げた。自分の肩に、カーディガンがかかっていることに気付く。

「あっ！ママ～、お姉ちゃんが起きた～」

怜(ユウ)は、綾に気付くと、すぐに魅麗に知らせた。
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