I LOVE YOUが聴きたくて
すると、

「魅麗」

優しい声で、名前を呼ばれた。

魅麗は、確認するように、ゆっくりと振り返った。


魅麗は、自分が目にした状況にひどく驚いた。信じられず、目を見開く。

「……どうして?」


美咲 怜樹が、目の前に立っていた。

彼は、最後に会った日と変わらない、清々しい素敵な笑顔で立っていた。

「久しぶり。元気そうだね」

「えぇ、元気…」

魅麗は、言葉が続かなかった。四年というの月日は、長いのか短いのか。彼を忘れた日はなかったというのに、言葉がでない。

四年前にパリで別れて、別々の人生になった二人の間に、魅麗は、ぎこちなさを感じていた。

「何かしゃべってよ。四年振りに会ったというのに、何かないの?それとも、もう忘れた?」

怜樹は、変わらない笑顔だった。

「忘れてないよ。ただ、突然なことで、びっくりして……」

「そうだよね」

怜樹は、歩みを進め、風景を見渡した。

「わぁー街が見渡せる。凄いねぇ~。見晴らしがいい!ここ、いい場所じゃん!いい場所見つけたね!」

「うん。……、どうしてわかったの?」

魅麗は、やっと、尋ねたいことを口にできた。
「びっくりした?」
「勿論…」
「そうだよね。場所を教えてもらってなかったのにね」
「うん」
「東京の郊外ときのこ」
「え?」
魅麗は、意味がわからず不思議そうな顔でいた。
「魅麗、言ってたでしょ。東京の郊外に出すって。僕が聞いて、言ったの覚えてる?」

「あぁうん」

「で、【きのこ】は、僕の想像。魅麗、きのこが好きって言ってたじゃん。初めて会った日、僕がお気に入りのお店に連れて行ったら、嬉しそうに店内の飾りを見てて、そしたら、きのこの形できのこ模様のテーブルがあってさ。ああいうの大好きって言ってたじゃん」
「覚えてて…」
「そうだよ。覚えてるよ」

魅麗は、変わらない怜樹に、時間が戻る感覚になる。

「直感でね。東京の郊外のきのこの店って思ったんだ」
「凄いねぇ」
「だろ?」

怜樹は、得意げな顔をした。

「ま、見つけた時にはびっくりしたけどね。だって、思ったまんまがあったんだもん」

「あ、そうね」

怜樹と魅麗は、顔を見合わせて笑った。
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