I LOVE YOUが聴きたくて
激しい雨となった。


『雨降って地固まる、じゃ。のう、絵描きさん』

怜樹は、老人の言葉を思い出した。

「雨降って地固まる、か…」

外は、激しい雨。

怜樹は、雨が止むのを待った。



雨は、小雨になり、外は、徐々に明るくなった。
そして、ようやく雨は上がった。


怜樹は、魅麗のもとへ伺うのを躊躇していた。

車の中で、横たわり考える。

「じゃあ、またね~」

声がしたので、目をやると、女の子が手を振って、階段を降りていった。
魅麗は、男の子をだっこして、女の子に手を振って見送りをしていた。
魅麗が男の子をだっこしている姿を見て、怜樹は、改めて状況を知る。

「子どもがいたんだぁ。どうして、教えてくれなかったのかな」

怜樹は、ひとり呟いた。

「あっ、何時だ!」

怜樹は、午後から仕事だったことを思いだして、汗って時計を見た。
時刻は、正午になろうとしていた。

「もうこんな時間。ヤバイな。今日は帰ろう」

怜樹は、今日は会うことをやめた。日を改めて、魅麗を訪ねることにした。

怜樹は、車をUターンさせると、仕事の準備のために自分のアトリエへと車を走らせ、その場を後にした。



ふと、気配を感じて、魅麗は見上げ、坂の上に目をやった。

何もない道路に、なんとなく気になったのは、気のせいだと思い、魅麗は、中へと入っていった。

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