I LOVE YOUが聴きたくて
~ キーン コーン カーン コーン ~


放課後のチャイムが鳴り、学生たちは、一斉に部活に向かったり、下校をしていく。

「あ!」
「何?どうしたの?」
「忘れ物した!ごめん泉、先に行ってて。すぐに追いつくから。」
「あぁ、うん」

綾は、教室に引き返した。


廊下を友達と歩いていた修は、クラスメイトの綾が駆けてくるのを見て、友達と話をしながらも、そっと目で追う。

綾は、人がいるのはわかったが、男子が二人だし、自分には関係ないので、修の視線に気付くこともなく、通りすぎた。

修は、通りすぎた綾をなんとなく目で追い、すぐに友達の話に耳を傾ける。
だが、やはり、駆けていった綾のことが気になって、修は、友達に言った。

「あ、悪い。先行ってて」
「どうした」
「忘れ物」
「あぁ、わかった」

あっさりと歩みを進める友達を横目に、修は、綾が駆けていった後を追った。

姿の見えない綾を探す。
方向が、教室の方だったので、修は、ふと、教室の出入口付近の廊下で足を止めた。

ガタン

教室の中から、音がした。

「あった!」

中から、綾の声がした。
教室にいることを、修は知る。
と、その途端、中から、綾が出てきた。

「きゃっ」

修が、教室を出た所にいたので、綾は、ぶつかりそうになって声をあげた。
とっさに避けた拍子に、綾は、尻餅をつきそうになる。

「あ!ごめん!」

修は、反射神経良く、軽やかに綾の腕をつかんで、自分の方に引き寄せて支えた。

綾は、ぶつかりそうになってびっくりしたのと同時に、修を見て、目を丸くする。
< 83 / 200 >

この作品をシェア

pagetop