Star☆Hunt〜*スター・ハント+゚・*〜
その日、アヤコはわざわざ家まで迎えに来た彼と登校した。
「…ンでさ、今週の日曜、うち来ない?夜まで誰もいないからさそれで…」

…うるさい。

新カレのマシンガントークをびゅんびゅん耳パスしながら、教室のドアを開けた。
と。

「お!新婚さん、イラッシャーイ★ぉはよッ、アヤっぺ。」

ドアの向こうで待っていたのは、クラスの三枚目・彦川だった。

「おぅ!ヒコ上手いことゆーじゃんッ。」
「俺は桂●枝役ね。」
彼とバカコントを繰り広げている。

カレシが席に着くのを見送ってから、アヤコは掲示板にもたれた。

「バカなやつ……」
彦川が振り返る。背の低い彦川は、女子にしては背の高いアヤコと、目線が同じだ。
「新郎に向かってバカはないだろッ!せめてアホと。」
「一緒じゃん…」

こいつは関西出身で、バカの代わりにアホを多用する。
明るい茶髪はいつもくしゃくしゃで、始終ニコニコして笑いの中心にいる。そんなヤツだ。
ヒコガワは、オーバーアクションにきょろきょろしだした。

「…そういや、オリタさんは?」
アヤコは言葉につまった。

ミチルとは、今まで一緒に来ていた。
だけど、あれからは……

「、知らない。あいつがいたから一緒に来てないし。」
「ふーん。」

ヒコガワはそれでいなくなった。
アヤコは、ひとり席に座った。

…ミチルは、イイ子だ。
こんな自分を許してくれて、友達でいてくれる。だけど……今は重い。

−捨ててくれた方がよかったのに。
あんたの好きな男を横取りして、あんたの前に見せつけた。それなのに。

アヤコは、うつうつとしたからっぽの席を眺めた。


…そして。午前中の授業が終わるまで、ミチルの席は空のままだった。


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