Star☆Hunt〜*スター・ハント+゚・*〜
…あたしは、固くて平らな地面の上に立っている。ガラスか大理石のようにつるつる。

上は、キャンプでも見たことのないような凄い星空。

…えっと、空は上にあるものだから…
あたしは鏡の上に立っている?

百億の星を映し出す床には、あたしの姿もそっくりそのまま映ってる。
…鏡の床はどこまでも広がっていて、360度地平線。
ふつうの夜空は街の明かりで地平が白い。だけど、この空にはグラデーションがない。

鏡が作り出す途切れないそら。

…−どっちが本物?

あたしがカゲだと思ってる足元の空が本物かもしれない…。
今、あたしがあたしだと思ってるこの自分はただのカゲで、カゲだと思ってるあたしがほんとのあたしだとしたら?


…怖くなってきた。

「…出なきゃ」
ここから、でなきゃ。
あたしを壊されてしまう。
だけど、ここはどこ?
どうすれば出られるの?この場所に、出口はあるの…?


あたしは、悲鳴を押し殺しながら、めちゃめちゃに首を振り回してあたりを見回した。
−星、星、星、星、……


あたしがほんとにおかしくなりそうになったとき。

「……?」

−背中に風を感じた。
寒い冬に、ただいまと言った瞬間の暖かい風。人と火の気配を感じる風だ。


あたしは振り向いた。

「…ドア」

ドアだ。

あたしの家のドアだ。
扉は向こうへ開け放たれていて、夜空より暗い闇が、ドア枠の中に広がっている。

…帰ろう。
うちに帰らなきゃ…。

そう思って、ドアの方へ足を踏み出した。
だけど。

……帰れないよ…。

あたしの家じゃない。ホントの家じゃない。ホントの居場所じゃない…。

…一瞬ためらったら、急にそのドアが恐ろしいものに見えて来た。
闇が、呼んでいる。
あたしを誘っている。


走った。

ドアに、背をむけて。


−追ってくる。…ドアが、追ってくる。

悲鳴をあげた。


ちがうちがうちがう
あたしの帰るとこじゃない
だから、来ないで!!!

「助けて!!」

振り向くと、ドアの中の闇がすぐ後ろまで迫っていた。

「!!」

ホントに、捕まる。そう思ったとき。

「おい、こっちだ!」

誰かが、呼んだ。
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