Star☆Hunt〜*スター・ハント+゚・*〜
「こっちだ、早く乗れ!」
…乗れ?
「なにぼんやりしてんだよ!死にたくないならさっさと乗れ!」
走るあたしと並ぶように、船が走ってる。
優美に曲線をえがく船体の、銀色のボートだ。
船の上の人が、あたしに手を伸ばしていた。
…あれ?どこかで聞いた声…?
「…誰…?」
星がまぶしくて顔が見えない。
だけど…
この少年の声に聞き覚えがあるんだ…
「…見たまんまめんどくせぇやつだな!…ほら!」
「きゃあ!!」
いきなり襟首をつかまれた。
…と次の瞬間、ものすごい力で上にひっぱり上げられ、あたしは固い船底に放り投げられた。
「…痛ったー…なにすんのよ…」
「死ぬよりいいだろ。目先の痛みしかあたまにねぇのかよ。アホか。」
「……え?……」
…この声。
"アホか"って…えらく聞き覚えが…
「……ヒコガワ、くん…」
−ヒコガワだった。
毎日見慣れた、くしゃくしゃで金っぽい明るい茶髪。
人懐こい顔と丸くて大きな瞳…。
彼は頭をかいた。
「…なんだよ。分かっちまったか。」
−ヒコガワだ。
だけど、…茶髪はくしゃくしゃじゃなくて、ストパーでもかけたようなストレート。
表情は冷たくて、別人みたいだ……
………そして、丸くて大きな瞳は……
「……青?」
「ンだよ。お前そんなに俺の顔いつも見てたの?目の色なんてそうそう気付くか?」
…船底に座りこんだままのあたしを見下ろす、冷たい目。
星明かりでもはっきりとわかる、その色。
……関西人の瞳は、青いんですか?
言葉が違うと、
人種が違うってことなのかな?
−彼の目は、冬の一等星みたいなスターサファイア色だった。