Star☆Hunt〜*スター・ハント+゚・*〜
さっきからホントに話がわからない。

「………ねぇ、なんなのさっきから…
ヨミノクニとか死んだ人とかタマシイとか。あたしは生きてるんでしょ?あんただって。」

地平ばかり見ていたヒコガワは、ちらっとこちらを見た。

「へぇ、そんなしゃべり方もすんだなお前。」

むっか…

「か、関係ないじゃん!今!イラッとしたからだよ!」

むかつくなこの男…

で、あたしの中で『みんなの人気者』から『むかつく男』に格下げされた奴はまた遠くを眺めて口を開いた。

「−…で、親父が死んだって?」
え?
「ほんとのこと隠されてたのが腹立つから帰りたくねーんだろ?」

…なんなの…

「お前さ、その親父に会いたいか?」

へ?

「…………ほんっっとになにゆってんの?」


「お前に何か願いがあるなら、帰らなくて済むぜ。」

「は…?」


ヒコガワは、またオールを手放した。

そして、船底に座ったままのあたしに、目線を合わせてしゃがんだ。

「…な、なに?!」
「マジで聞いてんだ。ほんとに帰りたくないんだな?」

…………目、合わせられないよ。
青が、強すぎて。あまりにもまっすぐで。

「……う、ん。できるなら…」

ヒコガワはうなずいた。
「じゃあ、一度帰れ。今のお前がここにいてもまたヨミに捕まるだけだ。」

え?え?え?え?

「か、帰りたくないなら…って言ったじゃん!な、なになになに?!」

ヒコガワがまたあたしの首根っこをつかんだ。
そして、むりくり立たされた。

「向こうに帰ったら日が暮れてるから、ほんとのほんとに帰りたくないと思ったら星が出るまで待て。
あと、なんか願いを考えとけ。

心の底から何かを願っとけ!
そしたら連れてってやるよ」


…目の前のうみに、クリスタルの桟橋が現れていた。

願い?…星がでるまでに?

「ほら、行け!」
「きゃーーー」

桟橋めがけて投げられた。

クリスタルの板が目の前に迫って、目をつぶった。
−だけど想像したような激突はなく、車が急ブレーキをかけたような、前に持ってかれる感じがしただけだった。



……そっと目を開けると。
あたしはアスファルトに寝転んで、夕闇を見上げていた。
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