Star☆Hunt〜*スター・ハント+゚・*〜
☆☆

−ミチルは夢を見ていた。

夢の中で、誰かが泣いてる。女の人だ。
こっちに背を向けて、ひざをついている。

細い肩を覆い隠す、優美なウェーブを描く長い髪。

震えている。豊かな黒髪が、そのものがひとつの生き物であるかのように、こきざみに。


どうして泣いてるの?
夢の中のあの人が泣いてるのは、あたしが泣いてるから?


ほっぺたが冷たい。
やっぱり泣いてた。

ミチルは、のろのろと起き上がった。

夕方のオレンジはすでに消えて、部屋はもう薄暗い。
開けっ放しの窓から夏のぬるまった風が吹いて、ミチルの涙を乾かしていった。


…下で、ママが呼んでる。

ミチルは急いで着替えると、残りの涙をふいた。
…そうやって、初めての恋と失恋を、タマシイの深い深いところに、 隠してしまった。


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