新撰組恋絵巻(完)
決意
神楽の選択
――翌朝。
私はばっちり寝不足だった。
(ううっ…眠い)
そんな私を見兼ねてか平助が心配そうに話しかけてきた。
「今日のお前、ずいぶん眠そうだけど大丈夫か?」
「あ、おはよう平助。大丈夫。ちょっと寝不足なだけ」
「寝不足って…夜の巡察当番だったのか?」
「えっ…えっと、まあ」
まさか本当のことなど言えるはずもなく私は口ごもってしまう。
「……おい西崎」
そんな時、土方さんが広間に顔を見せた。
「はい?」
彼が朝、広間に顔を見せるのは珍しい。いつも執務に追われていて自室に籠りきりなことが多い。
「お前に客だ。俺の部屋まで来い」
……客?そう言われ、思い当たる人物など一人しかいなかった。