新撰組恋絵巻(完)
私は言われるまま副長室に向かう。
やはり、そこにいたのは私が予想していた人だった。
「おはよう、神楽」
「帝…」
「約束通り迎えに来たよ。さ、帰ろうか」
確かに迎えに来るとは言われたが、まさか昨日の今日で屯所にやってくるとは思っていなかったので戸惑いを隠せない。
「………」
しかし私の返事を聞く間もなく帝は土方さんに向き直り頭を下げる。
「このコがお世話になりました。身勝手なことだと承知で一つあなた方にお願いがあります」
「構わねぇ。言ってくれ」
「神楽の秘密は他言無用でお願いします。このコの力を悪用する輩が現れぬとも限りませんから」
「ああ。分かってるさ」