新撰組恋絵巻(完)
「お前からもお礼を言いなさい」
私は帝の顔を見据えながらはっきりと自分の気持ちを告げる。
「帝。私はまだ帰らない」
付き合いが長いこともあって、この一言で彼は何かを悟ったようだった。
「……その様子では何かやり残したことでもありそうだね」
その問いに私は頷く。
まだ帰れない。最後に一つだけ。
「そうか。それなら仕方ないな。また日を改めて出直すことにしよう」
まだここにいられることに内心ほっとしている私がいる。
自分の往生際の悪さにはつくづく呆れて物も言えない。