新撰組恋絵巻(完)
「持っていなさい。きっと役に立つから」
意味深な言葉と笑顔を残しながら帝は屯所を後にした。
「なんだろう、あの最後の笑みは」
気にはなったが、これ以上深く考えないようにしよう。
とにかく計画を実行するなら今晩。
一応、土方さん辺りには全てを話しておいた方がいいかもしれない。
――そう思った私は副長室に向かい、用事を済ませたあと自分の部屋へと戻ったのだった。
そしてその夜、私は術をかける機会を伺っていた。
「そろそろ寝ようか」
「じゃあ明かり消すね」
「今日も一緒に寝る?」
彼はわざと“今日も”という部分を強調しながら意地悪く言う。
「なっ///寝ない!!」
「……え、寝てくれないの?」
寂しそうな声音に罪悪感が生まれるけれど、今夜だけは絶対にダメだ。