新撰組恋絵巻(完)
屯所を出ようとした矢先、思いも寄らぬ人物に呼び止められた。
「……行くのか」
「土方さん。わざわざ見送りに来てくださったんですか?」
「まあな。総司の具合はどうだ?」
「もう大丈夫ですよ。後のことはよろしくお願いします」
「そうか」
「今までお世話になりました。皆にもよろしくお伝え下さい」
「お前がいなくなると寂しくなるな」
まさかこの人にそんなことを言われるとは思っていなかったので驚きを隠せなかった。
「そうですか?」