新撰組恋絵巻(完)
「神楽、一つ使いを頼まれてはくれないか?」
「うん。ちょうど今、掃除が終わったところだし」
宿屋に身を置いている間、私は女将に頼んで掃除や食事の手伝いをさせてもらっていた。
何もしないより体を動かしていた方が気も紛れていい。
結果的には人の役にも立っているのだから一石二鳥だ。
「ここの甘味処で饅頭を買ってきてくれ」
そう言うと帝はお金と店の場所を記した地図を私に持たせた。
「分かった。でも帝、甘いもの苦手だったよね?」
「ま、まあ細かいことはいいじゃないか」
「?」
いつもと様子が違う帝に若干の疑問を持ちながらも私は目的地へと向かったのだった。