新撰組恋絵巻(完)
つまりは丸腰。
「ほら、こっち来いよ」
「……っ」
腕を思いっきり引っ張られ、私は浪士に捕まってしまった。
周りは見て見ぬふりをするだけで、この様子では助けてもらえそうにない。
――半ば諦めていたその時、
「はーい、そこまで」
その場に似合わぬ明るい声が響いた。
(嘘…)
目の前に現れた人物は今、私が会いたくて会いたくて仕方ない人だった。
一瞬、これは夢なのではないかという感覚に陥る。
「なんだお前は」
「こ、こいつ新撰組の沖田だ!!」
「ふーん。僕のこと知ってるんだ。なら話は早いよね」