新撰組恋絵巻(完)
「その汚い手、放してくれる?」
(総司…)
一目会えただけでこんなにも嬉しいなんて。
たとえ彼が私のことを覚えていなくても。
「新撰組の沖田だと!?」
「なぜこのようなところに…!!」
「何でって言われてもね。非番だよ、非番」
私は一瞬の隙をついて浪士の腕を振り切った。
「ふん。この場は引いてやる!!」
見事なまでの負け台詞を残し、浪士達は去っていった。
「怪我はない?」
「はい。助けて下さってありがとうございました」
なるべく総司の顔を見ないよう俯きながら答える。