新撰組恋絵巻(完)
顔を見たらきっと泣いてしまうから。
用事を済ませて早々にここを退散しよう。
そう思っていたのに総司の次の言葉に私の思考は停止した。
「……これからちょっと時間ある?」
「え?」
「せっかくだし一緒にお茶しない?一人で退屈してたところだったんだ」
「いや、でも…」
「助けてもらったお礼もしてもらいたいしね?」
含みのある笑顔でそんなことを言われたら断ることなどできない。
記憶を失っても意地悪は健在らしい。
私は渋々頷いた。