新撰組恋絵巻(完)
帝に頼まれた使いを無事に終え、店を出ると総司の広い背を追う。
近くに美味しい甘味処があるから案内すると言われ、ただひたすらに彼の後を追うことしばし…。
辿り着いたのは甘味処ではなく、人通りのない道だった。
「あの沖田さん、とても甘味処に向かっているようには見えないんですけど」
「………」
彼の行動に疑問を抱いた私は思いきって聞いてみた。
しかし返ってきたのは沈黙。
「………」
「さて、ここなら大丈夫かな」
ぽつりとそう洩らすと総司は私の方へと向き直った。
その真剣な瞳に胸がドキリと高鳴る。
「神楽、聞きたいことが山ほどあるんだけど?」
「……え?」
私は一瞬、何が起こっているのかよく分からなかった。