新撰組恋絵巻(完)
「……うん」
その一言で私の不安は嘘のように消えていく。
――ところが。
「ん?これは…」
私の元に何か降ってきたと思えば、それは帝の式神だった。
「………」
「神楽?どうかした?」
ふいに足を止めた私を不審に思った総司が後ろを振り返りながら訊ねた。
「……、帝が急な仕事で京を発つことになったって」
もしかしたら帝は初めからこうするつもりだったのかもしれない。
「お礼言いたかったのに」
ため息まじりに言葉を吐き出すと何かを閃いたらしい総司が声を上げた。
「その式神ってやつ、神楽は使えないの?」
まあごもっともな意見だ。
「……使えるけど妖力をかなり消耗するから使いたくない」