新撰組恋絵巻(完)
使えないとは言いたくなかったので回りくどい言い方になってしまった。
「あの人にならお礼なんて言わなくても神楽の気持ちは伝わってるだろうけど」
宿屋に着いた私達はとりあえず屯所に戻る支度を整えることにした。
部屋の中を確認すると、やはり帝の荷物だけがきれいになくなっていた。
「神楽、やっぱり男装しちゃうの?」
着物から袴に着替えようと準備をしていると総司が名残惜しそうに呟いた。
「え?そりゃあね」
「もういっそ駆け落ちしちゃおうか?」
突拍子のない彼の言葉に動揺を隠せなかった。相変わらず本気か冗談か分からない。
「な、なんでそうなるの!?」
「だって今の神楽をずっと見ていたいっていうか…このままさらっていきたいくらい可愛いから」
「~~っ」