新撰組恋絵巻(完)
「お呼びですか?沖田組長」
すると音もなく山崎君が現れた。
「うん、ちょっとこのコの怪我を見てくれないかな?」
血まみれの青年を見て、事の重大さを察した山崎君は真剣な顔つきで頷いた。
「……分かりました。今、準備してきますので沖田組長の部屋に彼を運んで下さい」
僕は言われた通り、このコを部屋に運ぶ。
――しばらくして怪我の治療を終えた山崎君が部屋から出てきた。
何やら複雑そうな顔をしている。
「そんな難しい顔してどうしたの?怪我の具合がよほど良くなかったとか?」
「いえ、見た目に反して怪我はそれほど重傷ではありませんでした」
その言葉を聞いて僕は軽く目を見開いた。
あれだけの浪士を相手にしておいて?
あのコの剣の腕はどれほどのものなのかと興味が沸く。