新撰組恋絵巻(完)




――沖田さん。





……誰だろう?僕の名を呼ぶのは。






土方さんだったら絶対振り向きたくないなぁ。







沖田さん、私の声が聞こえていますか?






あれ?この声は確か…。





「帝さん?」






よかった。術がうまくいったみたいだ。







「あなたに聞きたいことがたくさんあるんですけど」







はい。それを説明するためあなたの夢の中に私の意識を送り込んでいます。





そんなことどうでもいい。僕が一番聞きたいのはもちろん…。








「神楽は?」







私が泊まっている宿屋に身を寄せています。









「僕の病と記憶喪失はどんな関係があるんですか?」








癒しの術。あのコがあなたにかけた術です。どんな病を完治させる代わりに術をかけられた者は否応なく記憶を失ってしまうんです。







「いや、正確には失われるはずだった…違いますか?」








察しがよくて助かります。微力ながら私もお手伝いさせていただきました。








「明日にでも神楽を連れ戻しに行きますけどいいですよね?」






………。まあ、あのコもそれを望んでいるでしょうから。








「帝さん本当は渡したくないって思ってるでしょ?」







さあ。結局のところ私は神楽の味方ですからね。






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