新撰組恋絵巻(完)
「じゃあ、どうしたの?」
再度、山崎君に質問すると、彼は少しためらいながら口を開いた。
「実はあの青年…女子だったようです」
予想もしていなかったことを言われ三拍分の沈黙後、僕は声を上げた。
「……女の子?」
「はい」
手当てをした山崎君が言うんだから間違いないのだろう。
「でも、あのコの格好どう見たって男にしか見えないよね」
漆黒の長い髪を一つにまとめ、袴を着ていたのだからパッと見、女の子には見えない。
わざわざ男装をしていたことといい、あのコは一体、何者なのだろうか?
「……とりあえず、俺はこのことを副長に報告してきます」
「いってらっしゃい。あのコのことは僕が見ておくよ」
山崎君を見送ると、僕は部屋で眠っているあのコを見張ることにした。