新撰組恋絵巻(完)
すると音もなく誰かが降りてきた。
(この人が山崎さんか)
忍び装束を纏っているところを見ると、さしずめ新撰組の監察方だろう。
「沖田組長にも同席してほしいとのことです」
新撰組の局長と副長とご対面か…。一体どんな人物なのだろうか?
山崎さんに連れられながら広間に向かうと、
そこには大柄で人の良さそうな男と眉間に皺を寄せ、警戒心丸出しの男が座っていた。
「大体のことは山崎から報告を受けたが、詳しい話を聞かせてもらおうか」
部屋に入った瞬間、眉間に皺を寄せた男に話しかけられる。
ただ座っているだけなのに、この威圧感はなんだろう。
「まあ待てトシ。そんな怖い顔で睨まれては彼も話しづらかろう」
「そうですよ、土方さん。っていうか、いつもそんな眉間に皺寄せてて疲れないんですか?」
「総司、てめぇはいちいち一言多いんだよ」
沖田さん達のやりとりに私は目をぱちくりさせた。
(なんだ、この和やかな雰囲気は…)
「それに近藤さん、このコは女の子ですよ」
沖田さんの告げた事実に近藤さんと呼ばれた人は目を丸くする。
「な、何っ!?…女子!?」
「はい。私は西崎神楽と申します。このような格好をしているのには深いわけがありまして…」
そこで私はまず京に来た理由から話すことにした。