新撰組恋絵巻(完)
近藤さんの思わぬ提案に土方さんは深く息をついた。
「近藤さん、あんた正気か?」
「どうだ、西崎君。君さえ良ければここにいてもらっても構わんのだが…」
「……いえ、そこまでご迷惑をおかけすることはできません」
近藤さんの心遣いは嬉しかったが、その厚意を素直に受け取るわけにはいかなかった。
第一、新撰組は女人禁制と聞いている。
「近藤さんもこう言ってるし、ここにいれば?他に行く宛てもないんでしょ?」
沖田さんの鋭い指摘に私は何も言えなかった。
「怪我の手当てをしてもらっただけで、もう十分ですから」
すると、そのやりとりを見ていた土方さんが嘆息しながら言葉を継いだ。