新撰組恋絵巻(完)
「あの、ありがとうございます」
こうして私は新撰組に身を置くこととなった。
「確かに総司なら安心して彼女を任せられるな」
初めは不服そうにしていた近藤さんも納得したようだった。
「――話は以上だ」
話がまとまったところで土方さんは足早に立ち上がる。
「あ、あの実は一つお願いがあります」
私は土方さんが部屋を出る前にある話を切り出す。
「何かね、西崎君」
「私を新撰組に入隊させて下さい」
「なっ…」
「ただの居候として置いていただくわけには参りません。それに、ここに置いてくださる間だけで結構です。お願いします」
私の申し出に近藤さんは困惑していた。
「女子の君がそこまでする必要はない」
「今の新撰組は人手不足でお困りだと風の噂で耳にしました。
私は女ですが、剣には自信があります。きっとお役に立てる筈です」
「……むぅ」
私の決意が固いと分かったのか土方さんが言った。