新撰組恋絵巻(完)
「女?って、誰が…!?」
「そうだよ、一君!!神楽は男だろ?」
かと思いきや、どうやらこの二人も近藤さんと同様、私が女であることに気づいていなかったらしい。
見兼ねた土方さんは私がここに身を置くことになった経緯について話し始めた。
「――このことは他言無用だ」
「なるほどな。言われてみりゃ、やけに綺麗な顔立ちしてるよな」
「言われるまで全然、気づかなかったぜ」
「よろしくお願いします。永倉さん、藤堂さん」
私は改めて二人に頭を下げる。
「ああ、よろしくな」
永倉さんは笑顔で返事をしてくれたのに対し、藤堂さんは何やら顔をしかめていた。
「あ~、俺のことは平助でいいよ。皆そう呼ぶし。敬語も使わなくていいぜ」
その言葉はずっと緊張しっぱなしだった私にとって嬉しいものだった。