新撰組恋絵巻(完)
「沖田さん、ちょっと味見してもらえますか?」
私は完成した味噌汁を手渡す。
「うん、美味しいよ。神楽ちゃんはきっといいお嫁さんになれるね」
笑顔で言い切られてしまい、思わず動揺してしまう。
「えっ…?」
沖田さんの言葉に他意はないって分かってるけど…。
それでも頬が勝手に熱を帯びていく。
「あれ?顔、真っ赤だけど熱でもあるのかな?」
沖田さんは意地悪な笑みを浮かべながら私の反応を窺っている。
「な、何でもありません!!」
私は出来上がった膳を持って逃げるようにその場を後にした。
広間に向かうとそこには永倉さん、原田さん、それに平助の姿があった。
「おっ、もう飯の時間か!?」
膳を目にした永倉さんが真っ先に口を開く。
「はい」
「なあ神楽、膳を運ぶの手伝ってやろうか?」
「ありがとう平助。助かるよ」