新撰組恋絵巻(完)
「でも土方さんは平助を指名したわけだし。副長命令は絶対じゃなかったっけ?」
「え…」
総司は私を擁護するどころか窮地に追いやる発言をする。
このままだとかなり不味いんじゃ…?
その予感は見事に的中する。
「悪いが西崎、今回は平助と試合してくれ」
「……はい」
結局、私は平助と試合することになった。
「それじゃ審判は僕が」
私と平助は定位置につき、互いに一礼する。
「始め」
総司のかけ声とともに私は木刀を中段に構え、相手の出方を窺う。
しかし、さすが新撰組の幹部とも言うべきだろうか。
隙という隙が見つからない。
(なら、こっちから仕掛けてみるか)
私は平助の袈裟目がけて一撃を放つ。
「くっ…!!」