新撰組恋絵巻(完)
「くっそ~。負けちまったか」
平助が悔しそうに言う。
「……西崎、入隊を許可してやるが本当にいいんだな?」
――もし、命を懸けるだけの覚悟がないなら入隊なんてするな。
土方さんの言葉の裏にはそんな意味が込められている気がした。
「はい。自分で決めたことですから」
だから私はその問いに力強く頷いた。
とっくに覚悟はできている。
そんな私を見て彼は満足気に目を細めたのだった。
「ところで土方さん、神楽をどこの隊に配属させる気なんだ?」
平助がぽつりと気になっていたことを呟く。
「暫くは総司と同じ一番隊に身を置いてもらうことになるだろうな」
「でも、こいつの腕は組長だって任せられるほどのモンだろ?」
原田さんはそう言ったけれど、土方さんが私を組長にしなかった理由は手に取るように分かった。