新撰組恋絵巻(完)
「組長に据えたいのは山々だが、物事には順序ってもんがあるんだよ」
私のような新入りをいきなり幹部になんかしたら平隊士から不満が出るに決まっている。
土方さんの措置は妥当なものだろう。
「神楽ちゃん、とりあえず入隊おめでとう」
「はい。引き続きお世話になります」
総司の一言で平助は何かを思いついたみたいだった。
「なあ、せっかくだし神楽の入隊祝いしようぜ!!」
「そうだな。久々の入隊者だ。パーっとやるか」
平助と原田さんは何やら意気込んでいる。
「左之さんはただお酒が飲みたいだけでしょ」
「いいじゃねぇか。屯所で酒なんて滅多に飲めねぇんだからよ」
「ってことで土方さん、神楽の入隊祝いしてもいいだろ?」
「……お前らのことだ。どうせ止めても聞かねぇだろ?」
土方さんはため息まじりに言うけれど、その声音は優しいものだった。
どうやら反対はしないらしい。