新撰組恋絵巻(完)
そう言って私が立ち上がると平助も一緒に立ち上がった。
「自分で取りに行くから神楽はそこで待っててくれよ」
しかし、その足取りはまさに千鳥足で危なっかしい。
「でも急に動くと危な…わっ!!」
私の忠告も虚しく、平助は急に動いたせいで身体に酒が回ったのか派手に転んでしまった。
私を巻き添えにして…。
「わ、わりぃ神楽…」
気づけば私は平助に押し倒されるような形になっている。
「う、うん。私は大丈夫だから。とりあえず退けてくれないかな…?」
その体勢の恥ずかしさに穴があったら入りたい衝動にかられる。
しかし私が言うより早く、彼の身体がゆっくりと前に倒れる。
「あれ?へ、平助…?」
そう声をかけるも彼はなぜか気を失っている。
「転んだ時、頭も一緒にぶつけたみたいだよ」
聞こえてきた声の方を振り返ると、いつの間にいたのか総司の姿があった。
「見たところ気絶してるだけみたいだけど、部屋に運んであげた方がいいよね」
でも頭なんて打ってたかな…?
「左之さん達も潰れてそこで寝てるし、後のことは一君に任せることにして…ちょっと外の空気を吸いに行かない?」
総司の言葉に若干の疑問を持ちつつも、私も夜風に当たりたかったので中庭へと移動した。