新撰組恋絵巻(完)
今のところ事情を知るのは幹部隊士のみだ。
確かに平隊士と一緒に隊務をこなすわけにはいかない。
……普通に考えれば。
「そこは考えてあるので大丈夫です」
私の母は狐の妖だった。そして私もその血を引いているため、ある程度の幻術なら使うことができる。
そのことを説明すると土方さんは納得した様子で深く頷いた。
「なるほどな。つまり隊士達に術をかけるってことか」
「ええ、まあ」
正確には私自身に術をかけ、皆の目を騙す形となる。
「話もまとまったところですし、僕達はこれで」
「あっ…ちょっと総司!?」
総司に背中を押されながら私は副長室を後にした。