新撰組恋絵巻(完)
「話は既に聞いてると思うが、奴等は風の強い日に京の都に火をつけ、その隙に天守様を誘拐する計画を立てていたらしい。
その会合が今日、四国屋か池田屋で行われる」
「よりにもよって今日とはな。今、動ける隊士は二十人ちょっとしかいねぇってのに」
原田さんが厳しい状況を洩らす。
そう。ここのところ体調不良やら怪我やらで隊士が減ってしまっていた。
「可能性が高いのは四国屋の方だ。だからそっちに人員を割くことになる」
話し合いの結果、四国屋に向かうのは土方さん、斎藤さん、原田さん、そして十数名の隊士。
一方、池田屋に向かうのは近藤さん、永倉さん、総司、平助、私に加え数名の隊士という御用改めにしては少数な人数割りとなった。
「近藤さん、ホントにそんな少数で大丈夫か?」
「何、心配するな。こちらには腕の立つものが多くいるからな」
「そうか。西崎、近藤さんをよろしく頼んだぞ」