新撰組恋絵巻(完)
平助が何か言ったのは分かったけれど、最後まで聞き取ることができなかった。
「平助、今なんて言ったの?」
「え?いや、何でもねぇって!!」
「?」
そんなこんなで池田屋に到着した私達は辺りの様子を窺う。
「……どうやらこっちが当たりみたいだね」
総司のその言葉で場の緊張感が増す。
「うむ。そのようだな」
「近藤さん、どうしますか?」
実力者が揃っているとはいえ、さすがにこの人数での討ち入りは無謀と言える。
そうなると私達がとらなければならない行動は恐らく…。
「攻め入りたいのは山々だが、ここは援軍を待つことにしよう」
――あれからどれくらいの時間が経っただろうか。
いつまで経っても援軍が来る様子はない。
(連絡はつけたはずなのに、まるで音沙汰なしとは一体どういうことだ)