新撰組恋絵巻(完)




平助が何か言ったのは分かったけれど、最後まで聞き取ることができなかった。










「平助、今なんて言ったの?」







「え?いや、何でもねぇって!!」







「?」








そんなこんなで池田屋に到着した私達は辺りの様子を窺う。









「……どうやらこっちが当たりみたいだね」








総司のその言葉で場の緊張感が増す。








「うむ。そのようだな」








「近藤さん、どうしますか?」










実力者が揃っているとはいえ、さすがにこの人数での討ち入りは無謀と言える。









そうなると私達がとらなければならない行動は恐らく…。











「攻め入りたいのは山々だが、ここは援軍を待つことにしよう」










――あれからどれくらいの時間が経っただろうか。









いつまで経っても援軍が来る様子はない。









(連絡はつけたはずなのに、まるで音沙汰なしとは一体どういうことだ)






< 80 / 145 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop