新撰組恋絵巻(完)
「近藤さん。このまま援軍なんて待ってたら夜が明けちゃいますよ」
痺れを切らした総司が近藤さんに進言する。
さすがの私も我慢の限界だ。
「こうなったら仕方がない。我々だけで乗り込むことにしよう」
――そして
「我らは会津藩お預かり新撰組である。
これより御用改めを行う。手向かう者は容赦なく斬り捨てる!!」
近藤さんの叫びにも似た声が池田屋中に響き渡った。
「新撰組だと!?なぜここが…」
「くっ!!とりあえずこの場は退け!!」
真っ先に逃げようとする浪士達の行く手を阻んだのは総司だった。
「どこに行く気?逃がさないよ」
「うぎゃあ」
「ぐああっ」
闇夜にも冴え渡る鋭い刃音が一閃を描く。
「おのれ!!よくも仲間を…」
「たった数人、血祭りに上げてしまえ!!」
息絶えた同志の姿を見た浪士達は一斉に刀を抜き、向かってくる。
これをきっかけに池田屋は一気に戦場となった。