新撰組恋絵巻(完)
すると誰かが激しく咳き込む声が聞こえてきた。
「――総司!?」
部屋の奥へと進むごとに浪士の死体が増えていく。
そして私は苦しそうに顔を歪めている総司を見つけた。
「……神楽?」
総司の顔を見た瞬間、なぜか涙が出そうになった。
しかし、それは無事だと分かって安心したからなどという安い理由ではなくて…。
「そんな泣きそうな顔してどうしたの…?」
「泣きそうな顔なんてしてないよ」
「君は素直じゃないなぁ。涙目だけど?」
そう言った後、総司は再び激しく咳き込んだ。
「分かったから…もう喋らないで」