新撰組恋絵巻(完)




口元から血を流している総司を見て、私はそれが怪我によるものではないと確信してしまったから。









「総司、一体いつから…」







「戦い、終わったみたいだね」









総司は私の質問を遮るように一言そう呟くと、口元の血を拭い歩き出した。










気づけば剣撃の音は止み、辺りは再び夜の静けさを取り戻している。









――後にこの騒ぎは池田屋事件と呼ばれるようになり、新撰組の名が世に大きく知れ渡るきっかけとなった。












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