新撰組恋絵巻(完)
島原にて
事件から数日が経ったある日、それは永倉さんの何気ない一言から始まった。
「よ~し決めた!!今日は島原でパーっと飲み明かそうぜ!!」
広間にいた面子はそんな彼の発言に呆れていた。
しかし当然ながらその誘いに真っ先に乗ったのは原田さんだった。
「おっ、たまにはいいな。せっかくだから神楽、お前も来いよ」
原田さんの申し出に私は戸惑う。
女である私があのような場所に出向く理由などない。
けれど前々から一つ気になっていたことがあった。
そう、私の知り合いの行方。
巡察に出る度、情報を集めてはいたものの未だに手がかり一つ掴めていなかった。
しかしあの人が姿を現すとしたら花街だろうと私は確信していた。
無類の女好きが色町に手を出さない筈がないのだ。