新撰組恋絵巻(完)
島原に着くなり、美しく着飾った芸妓が数人座敷へとやってきた。
そのうちの一人が私の隣に座る。
「椿と申します。よろしゅう頼んます」
椿と名乗る芸妓は簡単に挨拶を済ませた後、何故か私の顔をじっと覗き込む。
「西崎はんて、えらい綺麗な顔してはりますなぁ」
これは褒められているのかもしれないが、複雑な心境は隠せない。
今の私はあくまでも男なのだ。
「そうかな?」
「ええ。思わず見惚れてしまうほど」
「……。一つ聞きたいことがあるんだが」
「何でも聞いておくれやす。ウチで答えられることならええんやけど」