新撰組恋絵巻(完)
「最近、島原に通う妙な格好をした色男の話を聞いたことはないか?」
「妙な格好をした色男どすか?」
「ああ。名は帝というんだが」
帝は私より三つ年上。
彼は父の弟子の一人で、今では立派に独立し仕事で全国を津々浦々としている。
陰陽師の格好というのは良くも悪くも目立ってしまうのだ。
「この中で帝はんて殿方の座敷に呼ばれたことあるコはおる?」
しかし椿の質問に首を縦に振る者はいなかった。
「そうか…」
ここにいるに違いないと期待していた分、落胆してしまう。
「その方は西崎はんにとって大事な方なんどすな」
「両親を早くから亡くした私にとって兄のような人でね」