新撰組恋絵巻(完)
「でも何故ここにいると思ったんどすか?」
芸妓の素朴な疑問に私はどう答えるべきか一瞬迷う。
「それはあの人が女好きだからかな…」
過去にあったことが思い出され、私は深くため息をついた。
女癖と酒癖の悪さは天下一品ものなのだ。
そんな感じで他の芸妓とも他愛のない話をしていると―。
「西崎はん!!あんたさんが今さっき言うてはった方、隣の座敷に来てはるらしいわ!!」
席を外していた椿が血相を変えながら戻ってきた。
「……えっ」
その言葉に私の心臓の鼓動は早くなる。
「すまないがその座敷に案内してくれないか?」
椿に連れられ私は帝のいる座敷の前へとやってきた。