新撰組恋絵巻(完)
「西崎はんが言うてはった通りの方どしたから恐らく間違いないと思うんやけど」
「わざわざ他の座敷まで行って捜してきてくれたのだろう?面倒をかけたね」
それにしてもこうも首尾よく見つかるとは驚きだ。
「……失礼する」
私は深呼吸をしてからゆっくりと襖を引き開けた。
「……そろそろ来る頃かなと思っていたよ」
そこにいたのは呑気に寛いでいる帝の姿だった。
「帝…」
「悪いけど席を外してくれるかな?色々このコと話したいことがあるから」
彼の言葉に芸妓達は顔をしかめていたが、すぐに座敷を出ていった。
この島原で男二人きりという光景は旗から見れば妙なものだろう。
「私が来ると分かっていた口振りだったな」