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「あ、もしもし、湊?」
「うん。ごめんな、いつもならメールする時間だもんな」
「うん。どうしたのかな?と思って・・・」
前を歩いていく人々が気にならないほど、湊と女の子を凝視してドキドキしながら聞くと
「実はさ、バイトで友達になった人を送ってるんだよ」
「えっ」
そういうと、“ちょっと、何すんすか!”と湊の声の次に耳をつんざく様な高い声が聞こえてきた。
「もしもし?須貝くんの彼女さん?和樺ちゃんよね?」
「えと、はい」
年上なのかな?
「ごめんね。うちの彼氏今日は出張で迎えに来れないって言って、勝手に湊君に送ってくれって言ってたみたいなの。ホントごめんね。彼氏お借りしちゃって」
「あ、そういうことだったんだ。いいえ、女の子が一人で帰ったら危ないですもんね」
「あら、それは和樺ちゃんも一緒じゃない?」
見ると、彼女が手を振って笑いながらあたしを見ていた。