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すると彼女は、怒ってる湊に携帯を返して、その体を突き出した。
それから湊に何か言った後、彼女は帰って行った。
そして湊が顔を元の位置に戻したとき、あたしと目があった。
瞬間、湊は道路に飛び出した。
「湊危ないっ!」
突然出てきた湊をかわせるはずもなく、車は湊に向かっていく。
でも、湊はそれを軽い身のこなしでかわして、あたしのもとまで走って来てくれた。
「和樺」
「湊・・・」
もう車の運転手の声や、周りの視線も気にならなかった。
「ごめん。不安にさせたんだね」
そう言って、街中なのに、あたしを抱きしめてくれた湊。
「安心して、俺から和樺を離すことなんてあり得ないんだから」
「うん・・・。あたしも湊から離れたくない」
それから、湊はあたしを家まで送ってくれた。